嫁の位の不安定さをうたった歌

具志堅 要

2021年02月06日 08:18

うみはまいはまい ぬすがうみはまてぃ
 はちゃや出じゃさりぬ 嫁ぬくれぬ

うみはまいはまい ぬすがうみはまてぃ  はちゃやいじゃさりぬ ゆみぬくれぬ

【懸命に働きに働いて、どうしようというのだ懸命に働いて、明日は家から追い出されるかもしれないという嫁の身分で】

沖縄の民衆層では、嫁入りや嫁という概念は古来のものではなかった。
明治民法で家父長制が確立されて、嫁入りや嫁という概念が成立していく。
それまでは、夫が夜だけ妻のもとに通うという通い婚が一般的だった。
家は女性を中心に形成されていたのだ。
明治民法施行後、結婚後の女性は嫁という弱い立場になり、
家から出されるかもしれないという不安定な身分になった。
男性を中心に家が形成されるようになったのだ。
そのような不安が歌われている。

出典:酒井正子「ウタと共に生きる:沖縄・本部半島の音楽文化(1)」湘南国際女子短期大学紀要第 5巻(1998年)


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