満ち足りた幸せな母子像を描いた歌麿

具志堅 要

2021年08月07日 20:48


喜多川歌麿《絵本『四季花(しきのはな)』 盆灯籠と植木売》1801年、ボストン美術館蔵

盆灯篭は旧暦七月一日から晦日まで火を点じ、八月三日まで続けたとのこと。
死者をもてなす、長い夏の祭りだったのだ。
絵は商家の様子だろうか。みな寛いでいる。
胸をはだけているのは、おそらく乳母だろう。
母親は丸髷で髪上げの入浴スタイル。
湯上り後に、授乳に満足した赤ん坊を抱き上げているのだろう。
歌麿は、満ち足りた幸せな母子像を描くのがうまかった。

絵の右手に下がっているのが切子灯篭で
母親の後ろにあるのが廻り灯篭。
(三谷一馬『江戸年中行事図聚』より)



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