金に魅了されたコロンブス

マルクスの『資本論』の第三章「貨幣または商品流通」を読んでいると、コロンブスの言葉が引用されている。
「金はすばらしい物だ!これをもっている人は、彼の願うこと何一つかなわぬものはない。金によって、霊魂さえ天の楽園に達せしめることができる」(コロンブス、ジャマイカからの手紙、1503年)
   岩波文庫『資本論(一)』230ページ

ラス・カサスの『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(1542=1976年、岩波文庫)に目を通すと、黄金に狂ったスペイン人たちの残虐な暴力行為で埋め尽くされている。
そのほかのインディオたちに対しては、キリスト教徒たちは殺さずにおこうと考え、彼らの両手に斬りつけた。そうして、辛うじて両手が腕にくっついているそのインディオたちに向かって、彼らは「手紙をもってゆけ」と命じた。つまり、山へ逃げ込んだインディオたちの所へ見せしめに行かせたのである。(26ページ)

金に魅了されたコロンブス
『指輪物語』の指輪のように、金(=貨幣)には、人を魅了するとともに、狂気にも向かわせる魔力が秘められていた。



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