宮古島狩俣祖神祭の「にーり(二)」

具志堅 要

2023年09月15日 20:03

祖神(うやがむ)のにーり二

一、うぷぐすく まだまが、んきやとよの まだまが、
うぷぐすく(大城)御嶽のマダマは、昔の名高いマダマは

二、あらばなぬ ふらなす、まぱずみぬ ふらなす、
〔この世の〕始まりの子を産んだ、〔世界の〕初っ端の子を産んだ

三、まばるまや んまらし、さきぬふあや んまらし、
マパルマ〔という名の女の子〕が生まれた、長女が生まれた

四、まばるまが つぎんな、さきぬふあぬ つぎんな、
マパルマの次には、長女の次には、

五、まやまとや んまらし、やふだみや んまらし
マヤマト〔という名の男の子〕が生まれた、家を踏み整える子が生まれた

六、まやまとが つぎんな、やふだみが つぎんな、
マヤマトの次には、家を踏み整える子の次には

七、よまさいや んまらし、とよんふあや んまらし
ヨマサイ〔という名の男の子〕が生まれた、名高い子が生まれた

八、よまさいが つぎんな、とよんふあぬ つぎんな、
ヨマサイの次には、名高い子の次には

九、すゝめがや んまらし、かんぬさあや んまらし
ススメガ〔という名の女の子〕が生まれた、神に召された子が生まれた

一〇、すゝめが つぎんな、かんぬさあぬ つぎんな
ススメガの次には、神に召された子の次には

一一、まかなすば、んまらし、かんぬさあや んまらし
マカナス〔という名の女の子〕が生まれた、神に召された子が〔再び〕生まれた

一二、まかなすが つぎんな、かんぬさあぬ つぎんな、
マカナスの次には、神に召された子の次には

一三、ままらつーば んまらし、かんぬさあや んまらし
ママラツー〔という名の女の子〕が生まれた、神に召された子が〔三たび〕生まれた

一四、ままらつーが つぎんな、かんぬさあぬ つぎんな
ママラツーの次には、神に召された子の次には

一五、まづまらーや んまらし、てまさりやや んまらし
マヅマラー〔という名の神に仕える女の子〕が生まれた、手勝り〔機織り上手〕な子が生まれた

稲村賢敷『宮古島旧記並史歌集解』(1962年、琉球文教図書)より
現代語訳 具志堅 要

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