石川エンサーを観て――門付け芸能からシマの芸能への変貌

昨日(2019年8月19日)、うるま市石川の石川之宮で演じられた、石川エンサー保存会によるエイサーを観てきました。旧盆行事を締めくくる「別り遊び」のエイサーです。

エイサーの演舞の前にシマ(集落)のウスデークの女性たちによる祈りが石川之宮の拝所に捧げられ、続いて拝所下の広場で女性たちによるウスデークが舞われます。

ウスデークは沖縄本島とその周辺離島に分布する祭祀芸能で、女性たちによって歌い舞われる円陣舞踊です。

ウスデークを舞うことによって、シマの女性たちは神の妻になります。神の妻となった女性たちはエイサーを舞う男性たちに神の霊力を授けます。神の霊力を授かった男性たちはエイサーを舞いながら集落の中を巡遊することになります。

ウスデークの女性たちから霊力を授かることにより、エイサーはニンブチャー(念仏者)=チョンダラー(京太郎)たちの門付け芸能からシマの芸能に、変貌するのだといえます。

ニンブチャー=チョンダラーたちは職業的な芸能民でした。彼らはシマ・コミュニティの外部に位置する者たちでした。その彼らのもたらし芸能がシマの芸能に変貌する契機は、ウスデークの女性たちによる霊力の授けにあったものだと思われます。

エイサーの盛んな地域は、多くの場合、ウスデークのようなシマの女性たちによる祭祀舞踊があります。この女性たちの存在によって、エイサーは門付け芸能からシマの芸能へ変貌するのだといえるでしょう。

FB「サンジチャーのエイサー便り」より転載


同じカテゴリー(エイサー)の記事