柳田國男の「山神とオコゼ」に、
山の神にオコゼの干物を見せると参拝する男たちが大笑いするという祭りが出てくる。
みんなで大笑いすると豊作が招かれるという。
古事記でも似たような話がある。
アマテラスが岩戸に隠れていると、
ウズメが性器を露わにして踊り、それを見た神々が大笑いをする。
神々の笑い声を聞いたアマテラスが岩戸から出てくると、
闇だった世界に再び光が射してくるという物語だ。
オコゼが女性の性器をイメージするものだとしたら、
「山神とオコゼ」の祭祀は
古事記の天岩戸の神話を再演しているものといえる。

葛飾北斎画《絵本女今川/巫女(?)の踊り》1835年

葛飾北斎画《絵本女今川/山の神(?)》1835年