橋のたもとの乞食坊主の姿

橋のたもとの乞食坊主の姿
葛飾北斎画《『絵本隅田川 両岸一覧』より「元柳橋の子規」》1804年頃、シカゴ美術館蔵

この絵本を見ていて気になるモヤモヤが一つある。
橋のたもとにいるこの乞食坊主の姿だ。
由来がわからない。

彼の姿を気に留めている様子の者はいない。
みんな子規(ほととぎす)の音色に聞き惚れているようだ。
彼自身もそうかも。
子規の鳴き声に耳を澄ませているのかも。

乞食のようでもあるし、
悟りをひらいた坊さんのようでもあるし、
化物のようでもあるし、
橋にはそんな置物が必要だったのかもしれない。
お布施を差し上げることによって、
橋という現世(うつしよ)の異界を渡ることができたのだ。

橋のたもとの乞食坊主の姿



同じカテゴリー(北斎)の記事
盲人たちの川渡り
盲人たちの川渡り(2022-08-26 22:04)

八柄鉦という大道芸
八柄鉦という大道芸(2022-04-19 23:34)