やんばるの原風景が描かれているようなゴーギャンの描くタヒチ

やんばるの原風景が描かれているようなゴーギャンの描くタヒチ
ポール・ゴーギャン『もの思わしげな娘』1891年

次の絵ではこの娘の姿が右隅に描かれている。

やんばるの原風景が描かれているようなゴーギャンの描くタヒチ
ポール・ゴーギャン『タヒチの通り』1891年

ゴーギャンの巧みなところだろう。
この二枚を組み合わせることで、19世紀末のタヒチの村の雰囲気がありありと伝わってくるのだ。
この娘の拗ねている様子が、まるで自分の親戚の娘であるように、身近に感じる。

1891年は明治24年にあたる。
この年に琉球藩が廃止され、沖縄県が誕生する。
しかし民衆の生活にまだ激変が襲い掛かってはいないはずだ。
1898年に明治民法が公布されて家父長制が確立され、
1899年から1903年にかけて土地の私的所有権を確立する土地整理事業が実施される。
民衆社会の激変はそれから起こる。

ゴーギャンの絵を見ていると、
大激変の前の沖縄社会の情景、特にやんばるの情景が描かれているように感じる。



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