モーアシビに参加できなくなっていく時代の娘

遊ばんり我んや ちむたがてぃうしが
 あくまゆむ親ぬ にんびしかぬ
あしばんりわんや ちむたがてぃうしが あくまゆむうやぬ にんびしかぬ

【モーアシビに行きたくてじりじりしているのに、悪魔のように憎たらしい親は寝入ってはくれない】

夜も更けているのに、隣の部屋の両親は寝ついてくれない。
明治時代の風俗改良運動で、教員などの指導を受けた青年会では、
就寝時の若い娘の、家にいるのかどうかのチェックをしたらしい。
そういう時代背景が歌われているのではないだろうか。
憎たらしいのは、年頃の娘を見張るようになった世間の変化だ。
明治民法の施行(1898)によって、
若者の結婚は、モーアシビによる配偶者選択から親決め婚に急激に変化していく。
親は娘の自己決定権を奪い、
自己の所有物に変化させていく。

出典:酒井正子「ウタと共に生きる:沖縄・本部半島の音楽文化(2)」湘南国際女子短期大学紀要第 6巻(1999年)


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