——無縁の縁(えにし)を紡ぐ——
もしもだれかがそれを感じ取れたら、それだけで大したことだ。すなわち次のような利益をもたらせる、化粧にも明るくて美しい色の調和が得られ、例えば通りがかりの人の肖像を描かせてもらえるなら、過去のいかなる時代よりも綺麗なものになるだろうし、それに現在でも自然の中には自然と芸術との間にピュヴィスの画布の美しさが介在する。それで昨日は二人の人に出会った。母親は濃い洋紅色のドレスを着、娘は薄桃色に着飾って、なんの飾りもない黄色い帽子をかぷり、田舎風のとても健康的な人物、大気に晒され、陽に焦げている。母親は特に真赤な顔をして、髪は黒く、耳にはダイヤモンドを二つ嵌めていた。それでまたもドラクロアの《聖母教育》の絵を思い出した。