奄美のフィンチャー(掘り込み形式の墓)であるトホロ

奄美のフィンチャー(掘り込み形式の墓)であるトホロ
○水蝹一種(宇婆) ○宇婆はケンモンの類にて、折々嶋人迷ひし方に、山野に引きよはす事有。
〇戸保呂之図 トホロは以前は家に墓所々の家内に死人あれ口に入、穴の奥に棚(たな)の如く拵(こしらえ)、其上に置、三年目に骨洗とて、能(よき)焼酎(しょうちゅう)にて骨を洗、壺に収め次第なし(ママ)の□事、本琉球に同じ。今に古風残る諸間切あり。
付注 戸保呂 山の斜面や崖の中腹に横穴を掘ったり、洞穴を利用したりして、葬所とした所。第一次の処置は墓穴内の前部に安置、洗骨後に、骨を納めた甕を墓奥の棚の上におく形式が普通に見られる形式であるが、解説によると、第一次葬の際に墓奥の棚状の施設の上に置いたことが語られている。第一次の処置として注目をひく。

引用は、名越左源太(國分直一・恵良宏校注)『南島雑話2』(1984年、平凡社)より
(挿絵は奄美市立奄美博物館所蔵によるもの)

宇婆はケンモンの一種。
ケンムンまたはケンモンとは、奄美群島に伝わる妖怪。土地ごとに相違があるものの、概ね河童や沖縄の精霊であるキジムナーと共通する外観や性質が伝えられている。(Wikipedia)

トホロは沖縄でいうフィンチャー(掘り込み形式の墓)のようだ。



同じカテゴリー(民俗)の記事